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2016年6月17日 (金)

私の前世はたぶん,羽虫かスルメイカ

晩ご飯のあと.うだうだするうちに「前世」というのが話題になった.
カミさん曰く,「大きな水瓶を抱えて何かを祈る仕事をしているヒトだった,と前世がわかるというヒトに告げられたことがある」のだそうだ.

これを聞いて私は個人的な見解である旨を断った上で下のような意見を陳述した:


考えるまでも無く,ヒトの直近の前世はヒトではなく,非常に高い格率でヒトのエサであったと思われる.
私の両親のどちらかが食べた食料,または呼吸して摂取した酸素や微量元素のどれか,またはそのすべてが私の直近の前世だったに違いなかろう,という意味だ.

それはたとえば,私の母となるヒトがある春の昼下がり,新芽の木漏れ日の影で思うともなく深呼吸したひょうしに鼻の孔に飛び込んでしまった気の早い羽虫だったのかもしれない.
それはたとえば,私の父となるヒトが仕事帰りの飲み屋でつまんだスルメイカだったのかもしれない.

これまた当然の話だけど,ヒトがヒトに転生するまでには,近世では極端に珍しい一部の例を除けば,非常に多くの時間と世代を介在する必要があるだろう.
あるヒトが居たとする.生きてる間には垢やフケがはがれ落ちる.当然息もすれば糞尿も垂れ流す.いつか死ねば焼かれて雨と二酸化炭素に,そして燃え残りは埋められて土になる.それらはやがて植物や動物に吸収される.
その動植物が子孫を残せばそれが最初の転生先ってことになるわけだ.いいとこ,バクテリアとか細菌の類い.よくて植物プランクトンだろう.

つぎにその動植物が死ぬ.まあ,大抵はおとなしく土に還るか水に流される.さもなければ他の動植物のエサになる.そしてその補食者の子供となる.
補食者が動物だった場合はスピード出世が期待できる.食物連鎖の階段をどんどん昇れる,築地の市場でセリに掛けられる日はそう遠くないかも知れない.
うっかりマリンスノーになって底なしの海溝に沈んでしまった場合は次の転生の機会はプレートテクトニクスの気まぐれ次第ということになる.
最初の転生先がヒトであることはまず無いだろうというのはそういうことだ.

とにかく,これを次々と繰り返す.時間はたっぷりあるし,締め切りもない.
その間,いろんな経験をするだろう.いろんな出会いがあるだろう.いろんな関係を築いたり,壊したりするだろうし,泣いたり笑ったりするだろう.時には卑怯なことや悪いこともするかも知れない.ほんの少しは善行も積むかも知れない.

もしかしたら大隕石が地球に衝突して塵になって宇宙に舞い上がり,他の星系にたどり着くのはいつの日になるかも知れないような壮大な旅に出るかも知れない.
それは極端としても,膨大な時間と世代が否応なく費やされることだろう.

 

そうして,あるとき.現在から遡ること数十年前のあるときのこと.
あるところに,かつて私だったことをすっかり忘れてしまっているが,変わり果てた物体ではあるが,紛れもなく「前世」であるところの私がそこに居るわけだ.
そうだな,たとえば,それは羽虫かスルメイカだったかも知れない.
そこにたまたま偶然,居合わせた私の両親のどちらか,または両方と出会い,そして,後の私となって現世に今一度降臨誕生すべく,それと気づかずに両親のカラダの一部となったことはもはや疑いようが無い.

疑いようがないけれど,まったく信じがたいが事実だ.
事実だけど,計り知れない途方も無い話だ.

そう考えるとなかなかロマンあふれる話に思えてくるから不思議だな.

 

カミさんは終わりまで聞き終えること無く寝室に消えてしまった.

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