カテゴリー「書籍・雑誌」の4件の記事

2012年4月14日 (土)

旅に出るならまず宇宙服

のぞみは探検家であり冒険家だ.   
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後先考えずに前進あるのみ.退路を気にしない.   
小鳥を追って木のこずえまで駆け登って降りられなくなったりすることがあっても,けしてへこたれる事は無い.何度でも登る.   
   
もし彼女が本気で望んだなら,できる限りの努力を惜しまず,時間がかかってもきっと実現することだろう.   
例えば,もし彼女が宇宙旅行に憧れたなら,他人にどんなに笑われようが石鹸箱のクーポン券を地道に集めて宇宙旅行の懸賞に応募したりすることだろう.   
もし彼女が本気でそう望んだなら,の話しだけどね.   
   
けれど彼女はまだ幼い.当年とってまだ人間時間で1.5歳.こんな事を書いてると   
「失礼ね.誇り高いねこ族の時間では私は立派なレディよ」   
と鼻を鳴らして憤慨することだろう.   
   
世の中でねこと同居してる多くの人間の例に漏れず,私の頭の中でもねこ達の振る舞いは多くの場合擬人化されてる.   
キャラクターは大抵,子供の頃に読んだハインラインの小説に出てくる少年少女や饒舌で達者な大人達だ.   
私にとってのぞみには,どういうわけか二人のキャラクターがダブって当てられている.   
”スターファイター”の主人公の少年と,同じく主人公と行動を共にする小生意気な少女だ.   
不思議なことにこの二人のキャラクターが,両方とものぞみには重なって見えるように思う.   
   
あるときは極めて慎重で辛抱強く自分の目的を達成する為ならどんな苦労も厭わずじっと耐えて,いつかきっとやり遂げてしまう少年のようでもあり.   
あるときはなんでこんなにバカなの? どうしてそんなに向こう見ずなの? と頭を抱えてしまいたくなる奔放な少女のようでもある.   
   
そんな妄想を逞しくする私自身も,その小説の世界の中でどんな登場人物を演じてみたいかな,などとぼんやりと物語を思い起こしてみたりする.   
   
ある日,例によって遊びに出かけたきり深夜になっても一向に戻ってくる気配のないのぞみを待ちながらねこドアのあるサンルームで自転車の修理をしてる所へ,ようやく,足取り軽く彼女が帰還した.   
その顔には満面の笑みが浮かんでる.   
   
うにゃ! にゃにゃ! にゃにゃにゃ!   
   
なにか口に咥えたまま,歌うように嬉しそうな声で賑やかにさえずっている.   
よく観ると,それは小さなミッキーだった.   
   
「見て見て! すっごいラッキーだったのよー.もう逃げられちゃうかと思ったー!」   
   
彼女の「にゃにゃにゃ!」は,こんな内容に翻訳できるのではあるまいか,と私には聞こえた.   
私は答えて言った.   
「のぞみ,よくやったね.   
けどね.   
君がそのミッキーを手に入れたのは決して幸運なんかじゃないよ.   
何時間も辛抱強くずっと張り込んでいたからだ.   
ミッキーの通り道を突き止めたのも,何日も下調べをしたからだ.   
そして普段から人一倍,木登りや狩りの練習に励んでいたからこそなんだよ」   
   
私はのぞみの頭とのどを両手で包んで撫でながら続けた.   
「その獲物は君が受け取るべき当然の報酬だ.   
幸運は周到な準備の後から勝手についてくるし,不運はだらしないやつが使う逃げ口上に過ぎない」   
   
ちょっと無理矢理だが,こじつけてみた.   
   
Have a space suit, Will Travel!   
   
文庫本のカバーに,「スターファイター」という邦題の下にしるされていた原題.   
私が最も好きなハインラインの小説の一つ.   
   
   
さて.のぞみが無事戻ってきたんでやっと眠れる.   
その前に.   
おだてすかして彼女からそいつを奪い取り,   
20111129-115946   
私はミッキーの亡骸を家族の他の者の目に触れないように,こっそりと,しかしできるだけ丁重に,敷地の片隅にある無縁墓地に葬った.そこにはねこ達の餌食となった不幸な獲物達が埋葬されている.   
後世,はるか未来.考古学者達がかつての我が家の敷地内を発掘調査する機会があるとしたら,彼らはきっと,そこに棲息していた人間の食性についてとんでもなく誤った推論を展開することだろう.   
   
   
ところで.   
もしかしたらヤツはミニーだったかも知れない.が,まあ,大した問題ではない.

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2012年1月20日 (金)

夏への扉

R.A.ハインラインの小説は子供の頃から大好きで,子供向けの宇宙冒険物語を読みあさったもんだ.晩年の作品群だと思うが狒々親父や淫乱女が出てくるようなちょっと淫靡要素が混じったのもいい.   
   
中でも,ちょくちょく登場する猫の描写が好きだ.   
私の記憶の中の残像を元に再構成すると以下のようなのがあった.   
   
「真冬の午後,彼は家の中を歩き回って扉という扉の前で立ち止まり,振り向いて みゅーお と啼く.開けろと言ってるらしい.寒いからちょっとだけ開けてやるとしばらく外の様子を伺ってから,また振り返って みゅーお と啼く.ここじゃない,と言ってるようだ.そうして別の扉の前まで歩いていって立ち止まり,また開けてくれるのを待っている.   
扉のどれかが待ちわびた夏に通じてると信じてるらしい」   
   
確か,「夏への扉」.   
原文(訳文)はもっと簡潔明瞭な記述だったはずだが,私のぼんやりとした記憶の引出の中にはこんなふうに脚色されて格納されている.   
   
一方.   
   
我が家のねこ達は,皆若い頃,一度は雪の中に飛び出していく.   
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だが,そのうちものすごいこわばった表情で戻ってくる. 20030123-120313   
そして.   
一度そんな体験をした後では.   
   
ほら,雪だよ.遊びに行っといで.と促しても   
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「なんでこんなに寒いん?   
はよなんとかしてもらわなかなわんわほんま」   
と,とても不満である旨を訴える表情でこちらを見詰めるだけ.   
   
他のねこ達も概ね同じ反応.   
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「だってー.さっぶいやんかー.   
なんでこんな日に外出なあかんのー.   
はよ窓締めてストーブ着けたってんかー」   
   
ストーブを着けると.   
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「あーもおー.さぶさぶうー.   
お尻冷えてもたやんかー」   
   
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「……」   
   
いやあなた,近すぎないか? 熱すぎないか? ヒゲ,焦げてないか?   
   
   
高名な作家の愛猫と違ってエレガントさや情緒が無い.

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2010年10月 9日 (土)

こねこx4 地球を支配するものたち

星新一のショートショートにこんなのがある.うろ覚えだけど大まかなあらすじは:   
「とある愛猫家の家を宇宙人が訪れて尋ねた.この惑星を支配している生物は貴方たち人間ですか.主人は答えるどこか突然の宇宙人の来訪に驚いて気絶してしまう.困惑した宇宙人の足元に一匹の猫が擦り寄りながら落ち着き払ってこう答えた.いいえ,この惑星を支配してるのは私たち猫ですよ.人間は私が望むものはなんでも喜んで揃えてくれる,よく気が利く召使いですわ.宇宙人はなるほどおっしゃるとおりと納得して帰って行った」    
面倒だからAmazonの広告を貼ったりしないし,うろ覚えだからちょっと違うかもしれないが,まあ,私の記憶の引出にはこんな感じで納まっている.    

 

で,現在我が家に君臨する地球を支配するものたち.   
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健やかに私のお気に入りのデスクチェアを占拠してお休み中にあらせられます.   
今我が家の玄関先に件の宇宙人が現れたら,星新一の預言どおりの展開になることは間違いない.

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2006年1月 7日 (土)

究極のエンジンを求めて

故兼坂弘著による自動車エンジンについての読み物.

古本屋に立ち寄る度にこの本を探してる.シリーズ全3冊が刊行されているはずで,我が家にはそのうちの2冊はある.
最後の巻が刊行されたであろう当時,私は何とは無しに身辺がどたばたしていてたまたま買いそびれてしまっていたのだった.

今夜,ふと思い出してネットでこの書名を検索してみた.もしかしたらどこかで入手できるかもしれないと期待を持って.

見つかるには見つかったが,それはオークションサイト.出品の方には悪いがおよそべらぼうな高値がついてる….
いくらなんでも数万円を出すわけにもいかず,とりあえず諦めることにした.

他に見つけたのは,絶版廃版となった書籍を復刻させようというサイト.
今現在100票くらいが既に集まっていることがわかったが,この分では出版社を動かす事は難しいだろうなあ.
(まぁ,遅ればせながら投票させてもらったわけではるんだが…)

検索を繰り返しリンクを辿って行くうち,著者が既に故人となっていることも知った.
なんだか思わず溜息が出,ついでに咳き込んでしまった.まだカゼが治ってないらしい.

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